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「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」 を読んでキャリアを考える

「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」(Will Larson著)を読んだ。 今後のキャリアを考え直す良いきっかけになったため、今後どうなりたいか、現時点で何が足りないのか、どうすれば良いのかを2025年5月時点での感想を書く。

充実感を得る仕事

今後どうなりたいかを考えるにあたり、モチベーションの源泉を言語化しておきたい。

まず、プロダクトのアウトカムを実感できることが最も大きなモチベーションになっている。自分の手がけた機能や改善がユーザーに喜ばれ、富を生み出すことに充実感を得ている。 また、自分が行った判断や設計が後に正しそうと証明されることも充実感だと考えている。

チーム一丸となって目標に向かって進み、課題を解決していくことにも喜びを感じる。しかし、それは着手中に得られる充実感とは異なり、完了後に得られる達成感に近いかもしれない。

今後どうなりたいか

現時点で5年後には下記を実現しておきたい。

  • プロダクトの進むべき方向性を示し、チームを導くことができる
  • 長期的な運用を見据えたアーキテクチャを設計できる
  • チームを成長させることができる
    • キャリアが浅い人のスポンサーになっている

本書の表現を借りれば「全体像を把握するハイレベルなリーダー」である。 マネジメントについても触れておく。本書ではマネジメントは下記と定義されている。

そもそもマネジメントとは、組織やプロジェクトの目標達成のために人やリソースを効果的に調整することだ。マネージャーは人事評価や予算管理などの権限を持ちながら、チームの成果を最大化する役割を担う。一方、スタッフエンジニアは人事権のないマネジメントのような立ち位置にある。技術的な専門性を持ちながら、広い影響力を発揮し、組織やプロダクトの方向性に大きく関わる。

本書の定義から、スタッフエンジニアとエンジニアリングマネージャーの境界は曖昧であり同じ責務を持つこともある。明確に異なるのはスタッフエンジニアは人事評価や予算管理などの権限を持たない点である。

自分自身インポスターシンドロームで悩むことがあるため、同じような思いを抱えている人のメンターとなり成長を支援することに関心がある。一方、人事評価や予算管理の仕事に充実感を得る可能性が低いため、現時点、進むべきキャリアパスはエンジニアリングマネージャーでは無いと考えている。

現状何が足りないか

「全体像を把握するハイレベルなリーダー」になるために、現時点では下記の点が特に不足している。

  • リーダーシップとコミュニケーションのスキル
  • 未来を見据えた技術的な視点

「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」の中でリーダーについて下記のように述べられている。

リーダーとして成長するには「世界はどう機能すべきか」という点について独自の世界観を養う必要がある。物事はこうあるべきという感覚を持てば判断力に鋭さが増し、積極的に行動できるようになる。

短期的な視点ではどう機能すべきかを描くことはできていると評価されている。一方、長期的な視点でのビジョンを描くことができておらず、プロダクトの方向性を決定づけるような判断ができていない。 実際にマネージャーからもVisionary になってほしいというフィードバックを貰っている。

また、技術面ではインフラやアーキテクチャの設計に関しては経験が浅く、深い知識を持っていないことが課題である。

「上級のテクニカルリーダーになるには技術とアーキテクチャに関して深い洞察を得なければならない」という言葉にもあるように、技術的な深さと広さの両方が必要だ。

本書では上記のように述べられている。この経験の不足を補うことでプロダクトの成長により貢献することができ、意思決定における選択の幅を広げることができると考えている。

どうすれば良いか

仕事上での振る舞いがリーダーシップを身に付けるための最も効果的な方法だと考えている。 リーダーシップの機会を自分から積極的に見つけていく必要がある。

仕事での振る舞いに加えて、個人でもリーダーシップを身につけることは出来ると考えている。優れた文章によるコミュニケーションはリーダーにおいて重要な要素であるため、日頃から意識して研鑽していきたい。

技術面に関して、アーキテクチャ設計周りの仕事はアーキテクチャ設計の経験が無いと任せてもらえないことが多い。 もしくは、全く経験が無い場合は、この人に任せて大丈夫だろうという信頼が無いと経験を積む機会が得られない。十分な信頼が得られるように日々信頼貯金を積んでいく必要がありそうだ。 一方、Kubernetesなどの具体的な技術に関しては独学可能なため、チャンスが来た際に掴めるように学んでおきたい。

キャリアラダーを登る覚悟

最後に、本書で述べられていて、心に留めておきたい文章を引用する。

階段を上がる度に抽象化レイヤーが加わり、その下にあるそれまでのレイヤーを引っくるめて全てに責任を負うことになる。この責任の範囲拡大を受け入れる覚悟が必要だ。